漫ろ歩き

小説のようなものを書きます

2018-11-06から1日間の記事一覧

虹色の鹿

胃の内容物全てをぶち撒けられるように吐いた。正確には、嘔吐いただけでそれに伴う筈の吐瀉物はそこに無かった。激しく上下する肩や顎を伝う汗は落ちても、固形物やら液体やらは私の喉から一向に姿を現さなかった。荒く息を吐くだけで動揺する脚とは裏腹に…